徒然なるままに欧州特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州における特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

カテゴリ: ニュース・コラム

2019年7月~9月の私長谷川の日本での出没予報(仮)です。

7月15日(月) 福岡・大阪/クライアント訪問
7月16日(火) 大阪/クライアント訪問
7月17日(水) 大阪・東京/クライアント訪問
7月18日(木) 東京/クライアント訪問
7月19日(金) 東京/クライアント訪問

7月22日~7月25日 東京/リモートワーク

7月26日(金) 東京/研修講師@Winter Brandl主催セミナー

7月29日(月) 東京/リモートワーク 研修講師@日本弁理士会関東会主催研修
7月30日(火) 東京/リモートワーク
7月31日(水) 東京/研修講師@日本知的財産協会主催研修

8月1日~8月4日 東京/リモートワーク

8月5日(月) 愛知/研修講師
8月6日(火) 愛知/研修講師@日本弁理士会東海会主催研修
8月7日(水) 大阪/研修講師@日本知的財産協会主催研修

8月8日~8月28日 休暇&リモートワーク

8月29日(木) 大阪/研修講師@Winter Brandl主催セミナー
8月30日(金) 大阪/リモートワーク

9月2日(月) 広島/研修講師
9月3日(火) 東京/リモートワーク
9月4日(水) 東京/研修講師@日本知的財産協会主催研修
9月5日(木) 東京/リモートワーク
9月6日(金) 香川/研修講師
9月7日(土) 徳島/研修講師

9月9日(月) 大阪/クライアント訪問
9月10日(火) 大阪/研修講師
9月11日(水) 大阪/研修講師
9月12日(木) 大阪/クライアント訪問
9月13日(金) 大阪/研修講師@日本知的財産協会主催研修

打ち合わせの日程等にご参照下さい。


最近はありがたいことに色々な機関で欧州・ドイツ特許実務に関する講義で講師を勤めさせて頂く機会が増えました。私が講師を務める講義では受講者の方々にとって有益な時間を提供できるように以下の7点を心がけています。


1.受講者の知識レベルに合わせる

講義の内容は難しすぎても簡単すぎても受講者にとって有益ではありません。このため講義開始前に受講者の方々が講義のテーマについてどのぐらいの知識と経験を有しているかを質問してから講義を始め、受講者の方々の知識レベルに合致した内容を提供できるように努めています。


2.基本に重点をおく

私がまだ日本で働いていた時に何度か外国代理人からの最新の判例や法改正に関する講義を受けたことがありますが、そもそも現行の法律やガイドラインなど基本的な知識がなかったためさっぱり吸収できませんでした。このため講義のテーマとしては最新の判例や法改正よりも、現行の法律やガイドラインに基づいた基本事項をテーマとして取り扱うようにしています。


3.日本の実務との差異点を意識する

なんの土台もなく未知の情報に対峙するよりも、既知の情報を土台に共通点および相違点を確認していくほうが未知の情報を効率よく吸収できます。このため日本で欧州・ドイツの実務にについて講義する際には、受講者の方々がなじみ深い日本の実務との比較に重点を置きながら講義を進めるようにしています。


4.短く・少なく

人間の集中力および記憶力には限界があります。私個人の経験では90分以上の講義の情報は頭で処理しきれず結局物になりません。この理由から出来る限りスライド資料を少なくし、講義時間を短くするようにしています。


5.質疑応答は随時

日本の通常の講義スタイルでは講義の最後に質疑応答の時間がまとめて設けられます。しかしこのスタイルですと講義の途中に疑問が発生したとしても疑問が解消されないまま講義が進むので疑問が発生した後の講義の内容が全く頭に入らなかったという事態を招いてしまいます。このため出来る限り質疑応答をしながら講義を進めるというスタイルを採用しています。


6.自らの経験・見解を述べる

単に法律、判例そしてガイドラインなど公的に入手可能な情報を事務的に説明するだけでは講義が無味乾燥になりがちです。そこで講義では法律、判例そしてガイドラインを超えた私自身の経験・見解も述べるようにしています。自らの経験・見解を織り交ぜることで講義に情熱を込めることができます。


7.実務で使えるレベルまで落とし込む

私個人的には明日からでも直ぐに実務に活用できる知識を提供できて初めて受講者の方々に有益な講義を提供できたと言えると思っています。このため講義内容を単に抽象論で終わらせず、実務で活用できるレベルまで落とし込むことを心がけています。







昨年に引き続き今年も日本知的財産協会主催の2019年度の研修「欧州特許制度」の一部で私長谷川が講師を務めさせて頂くことになりました。

研修の日程は以下の通りです。

関東:
 1日目: 6月19日(水)
 2日目: 7月10日(水)
 3日目: 7月31日(水)
 4日目: 9月4日(水)

関西:
 1日目: 6月18日(火)
 2日目: 7月17日(水)
 3日目: 8月7日(水)
 4日目: 9月13日(金)

より詳細な情報は日本知的財産協会のホームページをご参照ください。

受講者の皆様にとって有意義な情報および時間を提供できるよう努めます。欧州における権利化業務にご興味のある方は是非ともご参加下さい。


欧州特許庁の審判部(Board of Appeal)は2016年の審判部の独立性を高めるための組織再編の一環でその所在地がミュンヘン郡(Landkreis München)のミュンヘン市から同じミュンヘン郡のハール(Haar)市に移転しました(https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/europe/2016/20160704.pdf)。この結果、現在では審判部による審理および審判における口頭審理は全てハール市で行われています。

しかしながらこの度、審判部が中間判決T0831/17でこの審判部の所在地が欧州特許条約(EPC)に適合しているか否かに関する質問を拡大審判部に付託しました。より詳細には口頭審理の権利に関する3つの質問が拡大審判部に付託しました(http://patentblog.kluweriplaw.com/2019/03/01/the-haar-in-the-soup/)。そして審判部の所在地に関連するのが以下の3つ目の質問です。

「審判請求人が審判部のハール市における所在が欧州特許条約に適合していないと非難し、口頭審理の場所をミュンヘンに変更する請求した場合であっても審判部は欧州特許条約に違反することなくハール市において口頭審理を行うことができるか?」


1.論点

この質問で論点となるのは欧州特許庁の所在地を規定する以下のEPC6条(2)における「ミュンヘン」がハール市を含む「ミュンヘン」を意味するのか、それともハール市を含まない「ミュンヘン」を意味するかです。

EPC6条(2)
「欧州特許庁は、ミュンヘンに設置され、欧州特許庁は、ヘーグにその支庁を定める。」

なおT0831/17では審判部は明らかにEPC6条(2)における「ミュンヘン」は、ハール市を含まない「ミュンヘン市」を意味するとの立場を取っています。このため現在の審判部のハール市における所在地はEPC6条(2)に違反していると暗に主張しています。


2.考えられうる影響

この拡大審判部への付託は、少なくとも審判部から既に口頭審理が召喚状が送付された全ての係属中のケースに影響を及ぼし得ます。仮に拡大審判部の審決まで影響を受ける事件の審理が停止されるということになれば、影響は甚大です。

また拡大審判部がEPC6条(2)における「ミュンヘン」は「ミュンヘン郡」ではなく「ミュンヘン市」と判断した場合には、審判部はまた莫大な費用をかけてハール市からミュンヘン市に引っ越すことも考えられ混乱は必至です。

経過を注視したいと思います。


3.参考情報

本事件T0831/17の判決文は、一週間前までは欧州特許庁の判決データベースからダウンロードができたのですが、なぜか現時点では判決データベースからアクセスできなくなっています。事件の詳細に興味がある方のために判決文(ドイツ語)のPDFデータを準備しましたのでもしよろしければご参照下さい。


欧州特許庁は3月12日、2018年のAnnual Report(年次報告書)を公表しました。公表されたAnnual Reportによると2018年の欧州特許出願の総数は174317件と、2017年(166594件)と比較して4.6%の増加となりました。

日本からの欧州特許出願数は22615件と、2017年(21774件)と比較して約3.9%の増加となりました。

また、2018年に付与された特許の総数は127625件と、2017年(105635件)と比較して約20.8%の増加となりました。

2018年に欧州特許庁で申立てられた異議の件数は3412件と、2017年の3647件を下回りました。Annual Reportで公開された異議が申し立てられた特許の比率および異議部による決定の割合を示すグラフを以下に示します。
opposition_2018
ソース:


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