欧州特許出願を第三者に移転したり、共願であった欧州特許出願の自己の持ち分を共願人に移転したりする場合は、当該移転の証拠として譲渡人および譲受人の両方によって署名された譲渡証書の提出が求められます(EPC72条、EPC規則22条)。

この譲渡証書は2017年にガイドラインが改正される前までは知財部または法務部の部長による署名であっても特に問題となることはありませんでしたが、2017年11月に改正ガイドラインが発効してから厳しくなりました。

具体的には会長(Chairman)、社長(President)、CEO、副社長(Vice President)または取締役(Director)以外の者が署名する場合、別途その者が会社を代表して署名する権限を有することを示す証拠が求められるようになりました(ガイドラインE-XIV, 3)。

この「署名する権限を有することを示す証拠」を準備するためには法人の登記事項証明書を取り寄せたりその翻訳をしたりなどど手続きがかなり煩雑になってしまいます。このため欧州特許出願の譲渡証書は会長、社長、CEO、副社長または取締役に署名してもらうことをお勧めします。

またガイドライン上では明示されていませんが欧州特許庁の電話による回答によると当該署名の要件は出願譲渡証書だけでなく委任状にも適用されるとのことです。

このため例えば代理人を変更する際に委任状を提出する場合も会長、社長、CEO、副社長または取締役に署名してもらうことが無難かと言えます。

参考文献:ガイドラインE-XIV, 3抜粋
Where a document is signed on behalf of a legal person, only such persons as are entitled to sign by law, by the legal person’s articles of association or equivalent or by a special mandate may do so. National law applies in that respect. In all cases, an indication of the signatory’s entitlement to sign, e.g. his/her position within the legal entity where the entitlement to sign results directly from such a position, is to be given. The EPO reserves the right to request documentary proof of the signatory’s authority to sign if the circumstances of a particular case necessitate this. Where the entitlement results from a special authorisation, this authorisation (a copy thereof, which need not be certified) has to be submitted in every case. The EPO will in particular examine whether the signatory is empowered to enter into a legally binding contract on behalf of the legal entity.