徒然なるままに欧州・ドイツ特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州・ドイツ特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

2019年07月

日本特許庁作成のドイツ特許規則13条(1)の和訳では出願書面の一つである要約書のボリュームについて以下のように記載しています。
第13条 要約
(1) 特許法第36条に従う要約は,1,500語以下とすることが好ましい。
「1500語」というと米国や欧州と比較してかなり多いです。したがってドイツ向けの出願では要約書のボリュームを多くできると思われる方も居るかもしれません。

しかしこの「1500語」という和訳は誤りです。

以下の実際のドイツ語の原文によるドイツ特許規則13条(1)を見てみますと「1500 Wörter (1500語)」では無く、「1500 Zeichen(1500文字)」と記載されていることが分かります。
§ 13 Zusammenfassung
(1) Die Zusammenfassung nach § 36 des Patentgesetzes soll aus nicht mehr als 1500 Zeichen bestehen.
したがってドイツ特許規則13条(1)の正しい和訳は

「特許法第36条に従う要約は,1,500文字以下とすることが好ましい。」

になります。

なおドイツでは要約書のボリュームを単語数ではなく文字数で制限しているのはドイツ語の言語学的性格に起因します。

ドイツ語では複数の単語を1つの単語に纏めることができるため1つの単語の文字数が多くなる傾向があります。

このため要約書の単語数のみを制限したとしても、実際のボリュームの制限力は限定的です。このため単語数ではなく文字数の制限によって要約書のボリュームが制限されています。



以前の記事「EPO審判部の所在地に関する質問が拡大審判部に付託されました」で審判部がハール(Haar)市において口頭審理を行うことが欧州特許条約に違反するか否かについての質問が拡大審判部に付託されたことを説明しました。

この質問に対する拡大審判部の回答を含む審決が先日7月17日に欧州特許庁によって公表されました

公表された審決によると審判部がハール(Haar)市において口頭審理を行うことは欧州特許条約に違反しないとのことです。

まだ審決の理由が公開されていないのでなんとも言えませんが、この結果はこの質問の背景にあった「現在の審判部のハール市における所在地がEPC6条(2)に違反するか否か」という論点についても違反しないと拡大審判部が判断したことを示唆します。







EU法の二次法である規則(Regulation)、指令(Directive)および決定(Decision)の共通点・相違点を以下の表にまとめてみました。

EU Law

参考サイト:





この度、日本弁理士会東海会主催の研修で私長谷川が講師を務めさせて頂くことになりました。 研修の日程および概要は以下の通りです。  

・演題: 「欧州向けクレームドラフト術」
・日時: 2019年8月6日(火) 15:00~17:00  
・会場: 安保ホール http://www.abohall.com/info/

受講者の皆様にとって有意義な情報および時間を提供できるよう努めます。よろしくお願いいたします。


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