徒然なるままに欧州・ドイツ特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州・ドイツ特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

2018年09月

お世話になっているSK特許業務法人の求人ページに掲載された「大阪出身者の東京への上京(都落ち?)プラン」にインスパイアされたので似たような「日本人青年版ドイツ就職プラン」を作ってみました。


ステップ1:理系修士を取得


日本の名門高校を卒業し、旧帝大の電機・情報系の学部に進学する。向学心に燃えて大学院まで行ったものの手先が致命的に不器用なことorコーディングに情熱を感じないことが判明し、自分に研究者およびエンジニアとしての適性が無いことを薄々感じる。自分にはどんな職業が向いているのだろうかと色々模索している内に弁理士という職業を知り、弁理士試験勉強を開始してみる。一応大学の研究には誠実に取り組み理系修士を取得する。


ステップ2:企業に就職

誰もが知る日本の一流メーカーの知財部に就職する。元々サイエンス・技術関連の文献を読むのが好き、文章を書くのが好きそして語学が得意ということもあり知財部の仕事に適正およびやり甲斐を感じる。日々の仕事は大変だけれども何とか時間を捻出し弁理士試験勉強を継続する。努力の甲斐があって弁理士試験に合格する。


ステップ3:ドイツで就職を考える


仕事も一通り一人でこなせるようになり今後の自分のキャリアについて考える余裕が出てくる。丁度その時期に仕事でミュンヘン出張の機会を得る。ミュンヘン出張の際に現地の特許事務所で働く日本人弁理士と話す機会があり、ドイツでの就職が思ったほどハードルが高くないことを認識する。ビールとサッカーが好きということもあり、ドイツで働くことに興味を持つようになる。色々調べている内にミュンヘンのWinter Brandlという事務所が日本人の技術者を募集していることを知る。


ステップ4:Winter Brandlに応募  

Winter Brandlに応募してみると、まだ20代後半~30代前半で電機・情報が專門で日本語・英語もできたので歓迎される。書面審査そしてWinter Brandlのパートナー弁理士との日本での面接審査も無事通過する。Winter Brandlから1週間のお試しインターンシップに招待されたのでゴールデンウィークを利用してドイツで1週間働いてみる。一緒に働く人たちも優しそうだったので転職を決意する。


ステップ5:ドイツに引越し

ミュンヘンに引っ越す。ミュンヘンでは役所手続きが大変と聞いていたけれどもWinter Brandlが事前に準備を整えておいてくれたおかげでストレス無く手続きを終えることができる。またミュンヘンでは良い部屋を見つけるのが難しいと聞いていたが、ドイツにおける弁理士という職業の社会的信用の高さのお陰かスムーズに日当たりの良い部屋を見つけることができる。街並みも綺麗で治安も思った以上に良かったのでとりあえず住み心地に満足する。


ステップ6:Winter Brandlで働き始める


日本人スタッフのサポートもありスムーズにWinter Brandlでの業務を開始することができる。欧州の実務は日本の実務と異なることが多く学ぶべきことが沢山あることを実感するがパートナー弁理士達がマンツーマンで丁寧に指導してくれるので効率よく欧州の実務の勘所を吸収する。権利化業務だけでなく異議、訴訟といったエキサイティングな仕事にも関与し欧州の実務について広くそして深く学ぶ。


ステップ7:ゆとりのある生活をエンジョイする

労働環境の良さに逆に戸惑う。日本で働いていたころは帰宅して寝るだけの生活だったので18時に帰宅してしまうと最初は何をしてよいのか分からず困る。時間はたっぷりあるのでまずはドイツ語の勉強を開始する。まだ時間に余裕があるのでWinter Brandlが法人契約を結んでいる職場近くのスポーツジムで日々筋トレに励むようになる。筋トレの結果、屈強なドイツ人にも物理的に負けないくらい強靭な肉体を獲得し、生物としてオスとしての自信も手に入れる。また年間30日ある有給を利用してドイツ各地のビール醸造所巡りなどを楽しむ。


ステップ8:日本出張+休暇


顧客対応が出来るようになってきたので定期的にパートナー弁理士に同行し日本に出張するようになる。出張では新規顧客との商談をまとめパートナー弁理士からの評価が上がる。出張業務終了後は暫し日本での休暇を満喫する。大学時代の友人達と奥多摩までキャンプに出掛ける。夜は満天の星の下キャンプファイアーを囲みながら昔話に花を咲かせる。友人達からは「ドイツに行ってからの方が頻回に遊べるようになったんじゃない?」と言われ確かにそうかなと思う。


ステップ9:欧州特許弁理士資格取得

3年のトレーニング期間を終了させ欧州特許弁理士試験にチャレンジする。しんどい試験だったがなんとか合格する。欧州特許弁理士資格を取得したことにより待遇が上がり仕事も幅も広がる。


ステップ10:住めば都

日本と比べると食事が不味しサービスは悪いけど、仕事は面白いし、ビールは安くて美味しいし、チャンピオンズリーグは生で見られるので生活の質はかなり上がったような気がする。オクトーバーフェストで出会った日本好きの可愛いミュンヘンっ娘とデートなどしているうちに、ドイツで結婚して永住しても良いかなと思うようになる。

ドイツで働くのもアリかなと思った方は以下の記事も併せてご参照下さい。



先生は敬語の最上級の1つ」という記事にインスパイアされたので私も先生という称呼について思うところを書いてみたいと思います。

私も過去には「先生」でも「さん」付けでもどちらでもよいかなというスタンスだったのですが、最近は「先生」という称呼は使うのも使われるのも面倒だと思うことが増えてきました。

具体的に面倒だなと思うのは例えば以下の様な状況です。

例えば弁理士会のような弁理士の集まりでとある会社Xに所属しているA氏という弁理士の方とお知り合いになったとします。私はA氏から「長谷川先生」と呼ばれます。ここで私がA氏のことを「Aさん」と呼んでしまっては無礼になるので必然的に私もA氏のことを「A先生」と呼ぶようになります。

そして時間が経てば自分の中ではA氏のことを「A先生」と呼ぶことが自然になってきます。

ここまでは何の問題もありません。問題なのは自分の中でA氏のことを「A先生」と呼ぶことが定着した後にA氏が所属している会社XでA氏およびA氏の上司であるB氏(非弁理士)の二人と会うような状況が発生したときです。

この場合、B氏は非弁理士なのでB氏を「B先生」と呼ぶのは不自然です。このためB氏を「Bさま」または「Bさん」と呼ぶことになります。しかしB氏を「Bさま」または「Bさん」と呼んでいるなかでB氏の部下であるA氏を「A先生」と呼ぶことはもっと不自然です。このため普段A氏のことを「A先生」と呼んでいるにも関わらず上司B氏の前ではA氏を「Aさま」または「Aさん」と呼ばざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。

なんだかとてもこっぱずかしくそして気まずくなります。

この問題は最初から私がA氏を「Aさん」と呼んでいれば発生しなかったことになります。より根本的には最初から私が「長谷川さん」とA氏に呼んでもらえていれば、私もA氏を自然に「Aさん」と呼べたということになり、この問題が発生しなかったということになります。

どうでもいい問題なのかもしれませんがどうしても気になってしまいます。

そんな状況が最近増えてきたためか「先生」ではなく「さん」付けの称呼の方が余計なことを考える必要性が少なくなる分好ましいと思えるようになってきました。

同業者の方はこの問題をどうやって処理されているのでしょうか。気になるところです。



スカイプ経由でドイツで弁理士としてのキャリアに興味がある方の相談に乗ります。ドイツでの仕事についてはもちろんのこと、生活面で気になること等についてもアドバイスを提供できるかと思います。ドイツ就職相談サービスの詳細は以下の通りです。

● 対象者: 弊所で弁理士としてのキャリアに興味のある方。学生、大学院生も歓迎致します。弊所でのキャリアに興味のある方はこちらの募集要項をご参照下さい。

● 費用: 無料

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 【お名前:     】
 【スカイプ名    】
 【ご希望日時(複数可):     】

ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
皆様からお申込みを心よりお待ち申し上げます。


2018年10月の私長谷川の日本での出没予報です。

 10月22日(月) 大阪/クライアント訪問
 10月23日(火) 愛知/クライアント訪問
 10月24日(水) 愛知・大阪/クライアント訪問
 10月25日(木) 東京/クライアント訪問・セミナー講師
 10月26日(金) 東京/クライアント訪問

打ち合わせの日程等にご参照下さい。


欧州特許庁によって欧州特許が付与された後は保護を求めるEPC加盟国で権利を有効化(Validation)する必要があります(「Validation」っていったい何のこと?という方はこちらのPDF資料をご覧ください)。

この有効化では各EPC加盟国で代理人をしたり、庁費用を納付したり、場合によっては翻訳文を納付したりする手続きが必須と思われがちです。しかし以下のEPC加盟国では有効化に何ら要件が定められていません。すなわち以下のEPC加盟国での有効化には何の手続きも必要ありません。

・ドイツ
・フランス
・アイルランド
・ルクセンブルク
・モナコ
・スイス
・リヒテンシュタイン
・イギリス
・ベルギー

つまりこれらのEPC加盟国では仮に有効化の指示をしなかったとしても欧州特許公報の公告後に権利が自動的に有効化されます(EPC64条(1))。有効化をしたつもりがないEPC加盟国の特許庁から特許維持年金のリマインダーが日本に直接送られてくることがあるのはこのためです。

参考サイト

"Under Article 64(1) EPC (or the relevant national legislation in the extension and validation states), a European patent automatically confers on its proprietor from the date on which the mention of the grant is published in the European Patent Bulletin, in each contracting state in respect of which it is granted, the same rights as would be conferred by a national patent granted in that state.

Accordingly, the proprietor needs to take no action before the central industrial property office in respect of European patents granted for Belgium, France, Germany, Ireland, Luxembourg, Monaco, Switzerland/Liechtenstein or the United Kingdom."



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