徒然なるままに欧州特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州における特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

2017年06月

統一特許裁判所(UPC)の準備委員会は2017年6月27日に、ドイツの連邦憲法裁判所に提起された憲法異議の訴えの影響により、Provisional Application Phase(暫定適用フェーズ)の決定的な開始時期を保持することは困難であることを発表しました。

一方で準備委員会は、連邦憲法裁判所に提起された憲法異議の訴えが速やかに処理され、2017年の秋ごろにProvisional Application Phaseが開始され、2018年の初旬にオプトアウトのサンライズ期間が始まり、その後欧州単一効特許・統一特許裁判所制度が開始されると希望的に見通しました。

2018年の初旬にオプトアウトのサンライズ期間が始まるとすると、制度開始は2018年の中旬ごろになる見込みです。

ソース:
https://www.unified-patent-court.org/news/message-chairman-alexander-ramsay-june-2017


欧州特許庁での異議申立の口頭審理は第三者に公開されています(EPC116条(3))。このため何人であっても欧州特許庁での異議申立の口頭審理を見学することができます(ただしオンライン包袋閲覧の対象でない個人情報または営業秘密に関わるやり取りがなされる場合は、その間第三者は退室を命じられますが(T1401/05))。

ドイツにお立ち寄りの際には勉強がてらに異議申立の口頭審理を見学してみてはいかがでしょうか。

また欧州特許庁は、Oral proceedings calendarで三ヶ月先までの口頭審理のスケジュールを公開していますので、見学する場合は事前にどの口頭審理が面白そうかチェックすることをお勧めします。



欧州特許庁が掲げる「Early and Certainty」における異議申立てのフローは以下の通りです。

New opposition

備考:
・特許権者に与えられる異議申立てに対する応答期間の4ヵ月は原則延長不可になりました(GL E-VII, 1.6)。
・新フローでは異議申立人および特許権者に与えられる書面提出の機会は原則2回です。
・欧州特許庁は異議申立てから口頭審理での決定までの期間を15ヵ月とすることを目標としています。




2017年7月および8月の私長谷川の日本での出没予報です。

7月24日(月) 福岡 企業訪問
7月25日(火) 大阪 企業訪問
7月26日(水) 大阪/東京 企業訪問
7月27日(木) 東京 企業訪問
7月28日(金) 東京 企業訪問 弊所主催セミナー

7月31日(月) 大阪 知財協主催セミナー
8月1日(火)  東京 知財協主催セミナー
8月2日(水)  大阪 企業訪問 弊所主催セミナー

打ち合わせの日程等にご参照下さい。

欧州単一特許制度に関する速報です。

ドイツでは欧州単一特許のための法案は連邦参議院および連邦議会に既に承認され、そして発効のためにドイツ連邦大統領による法令の認証(サイン)待ち状態でした。

しかしここにきてドイツ連邦憲法裁判所が連邦大統領に法令の認証をしないように願い出でました。詳細が明かされていない個人が連邦憲法裁判所に憲法異議の訴えを提起したことが理由とのことです。

連邦大統領が法令を認証しなければ、ドイツはUPC協定に批准できません。UPC協定の発効にはドイツの批准が必須のため、また欧州単一特許制度の実現への雲行きが怪しくなってきました。

連邦憲法裁判所に提起された訴えの今後を見守りたいと思います。

ソース:
http://www.lto.de/recht/nachrichten/n/bverfg-stoppt-eu-einheits-patent-verfassungsbeschwerde/

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