徒然なるままに欧州・ドイツ特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州・ドイツ特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

2016年11月

次回の東京での弊所セミナーのトピックおよび日程が決定致しましたのでご案内申し上げます。

● トピック: 「90分で学ぶ欧州向けクレームドラフト術」
 欧州特許庁におけるクレームの記載要件が日本や米国のそれとは異なることはなんとなく分かっているが、実際にはどのようにクレームをドラフトしたらよいのか分からず、米国用クレームをそのまま欧州にも流用しているという方は多いのではないでしょうか?
 本セミナーでは欧州特許庁における条文、審査基準および判例を参照しながら欧州ではどのようにクレームをドラフトすれば出願を効率よく権利化へと導くことができるかについて説明します。また欧州におけるクレームの記載要件不備を原因とするOAを防ぐために、明細書にどのような事項を盛り込むべきかについても併せて説明したいと思います。

● 日程: 2017年1月13日(金曜日)

● 時間: 18:30~20:00

● 会場: TKP東京駅丸の内会議室 カンファレンスルーム4
       〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビルB1
       http://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/kg-tokyo-marunouchi/access/

● 会費: 無料

● 講師: Winter Brandl特許法律事務所 長谷川寛

● 定員: セミナー:先着35名

● 参加方法: 本セミナーへの参加をご希望される方は、KHasegawa@wbetal.deまで、以下の項目をご明記の上ご連絡下さい。  

    【ご氏名:        】
    【メールアドレス:      】
    【ご所属先:       】

ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。 皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。


Facebookページに「いいね!」を押して下さった方には、弊所主催のセミナーを優先的にご案内しています。

2017年1月の私長谷川の日本での出没予報です。

1月10日(火) 大阪/企業訪問
1月11日(水) 大阪・東京/企業訪問・春秋会主催セミナー講師
1月12日(木) 東京/企業訪問
1月13日(金) つくば・東京/企業訪問 弊所主催セミナー講師

1月16日(月) 東京/企業訪問
1月17日(火) 東京/企業訪問・知財協主催セミナー講師
1月18日(水) 大阪/企業訪問
1月19日(木) 大阪/知財協主催セミナー講師・弊所主催セミナー講師
1月20日(金) 大阪・兵庫/企業訪問・弁理士会兵庫県地区研修会講師

打ち合わせの日程等にご参照下さい。

グーグル翻訳にニューラルネット翻訳技術が導入されたというニュースを聞いたので早速試してみたのですが、特に日英翻訳でものすごい品質の上昇を実感しました。まだまだ問題があるものの特許翻訳に使えるレベルに達するまでにはあまり時間を要しないと思います。

という訳で今回は機械翻訳をはじめとする人工知能が今後どのような進化をたどり、知財業務にどのような影響を与えるかについて予測してみました。ちなみに私は人工知能については全くのド素人ですので、全く的外れな予測もあるかと思います。予めご了承お願いします。

2020年 (翻訳者の需要の減少、特許事務の需要の減少)
・日英のOAおよびレターのグーグル翻訳の品質が人による翻訳並の品質になる。
・グーグル翻訳で簡単な特許翻訳が可能になる。
・人工知能が簡単な事務管理を担うことが可能になる。
・「グーグル翻訳し易い明細書を書くためのガイドライン」なる書籍が発行される。

2025年 (翻訳者の需要の消滅、特許事務の需要の消滅、弁理士の需要の減少)
・グーグル翻訳による特許翻訳の品質が人による翻訳の品質を超える(書面上の言語バリアががなくなる)。
・人工知能による事務管理の品質が人による事務管理の品質を超える。
・人工知能が事務管理を担うようになるので、多くの出願人にとって事務管理のアウトソース先としての特許事務所が必要なくなる。多くの弁理士が特許事務所の所属を離れフリーランサーとなる。
・人工知能が簡単なOA対応、簡単な審査などの特許実務を行うことが可能になる。
・人工知能が与えられた課題に対して解決手段を提供できるようになる(人工知能が限定的に発明をすることが可能になる)。

2030年 (審査官の需要の減少、弁理士の需要のさらなる減少)
・人工知能が大部分のOA対応を担うようになる。
・人工知能が大部分の審査を担うことになる。
・人工知能が明細書をゼロから作成することが可能になる。
・人工知能が独自に課題を導き出すことが可能になる(人工知能が完全に発明をすることが可能になる)。
・人工知能が発明をするようになり出願数は増えるものの、審査官の仕事は、人工知能による審査をチェックすることがメインとなり、人材余剰が発生する。
・特許庁内での審査官の人材余剰を解消するために口頭審理が急増する。
・「AI審査官に受けが良い明細書の書き方」なる書籍が発行される。

2035年 (発明者の需要の減少、審査官の需要のさらなる減少、弁理士の需要の消滅)
・人工知能による明細書の品質が人が作成した明細書の品質を超える。
・人工知能による発明の量が人による発明の量を超える。
・人工知能が発明を公開しまくり、もはや人類にとって新規性のある発明を創り出すことが困難になる。
・もはや弁理士が出願業務に入り込む余地がなくなる。
・実力のある一部の弁理士が係争を生業として糊口を凌ぐ。
・一方特許庁は審査官の存在意義を示すため引き続き口頭審理で余剰人材を解消しようとするが、特許出願自体が減り始める。

2040年 (特許制度の消滅)
・特許等について組織間で争うのは社会および人類の損失と人工知能が判断し、特許制度自体がなくなる(というか会社や企業という概念すら無くなる?)。
・特許制度が世に生まれて600年を経て再び発明は世の共有財産となる。

異論・反論を歓迎します。



他社の特許権をウォッチングする上で必ずチェックすべきなのは次回の特許維持年金の納付期限です。これはドイツでも同様です。しかしドイツの場合、納付期限が過ぎたからといって安心はできません。

例えば、ドイツ特許庁のRegisterでチェックした特許の次の特許維持年金の納付期限が2016年11月30日であった場合、納付期限の6月後の2017年5月31日までに維持年金を追納することができます(PatKostG第7条(1))。

さらに追納期間が経過し特許が消滅した後であっても、特許権者が年金不納付について無過失を証明すれば追納期限の1年後の2018年5月31日まで特許を回復させることができます。しかも一般的にドイツの権利回復手続きは日本のそれよりもかなり認められやすいです。

すなわち維持年金納付期限を徒過し消滅したと思っていた特許が、納付期限をから最長で1年6月後に突然復活するということがドイツではあり得ます。

このためドイツでは特許維持年金の納付期限の経過後も暫くはウォッチングを継続したほうがよいでしょう。

欧州特許庁の調査部が出願が単一性の要件を満たしてないと判断した場合は、EESR(拡張調査報告)の発行に先立ってEPC規則64条またはEPC規則164条に従い"partial European search report"(部分ESR)が発行され、出願人に追加調査費用を支払う機会が与えられます。

この部分ESRが発行された場合、

部分ESR

追加調査費用を支払うか否かの判断
(単一性について反論不可)

EESR

EESRに対する応答
(単一性について反論可)

という流れになるのですが、どのような対応をすればどのような結果が得られるのかは複雑で分かりにくいことに定評があります。以下調査部が出願が単一性のないA群の発明とB群の発明を含むと判断し、部分ESRが発行された場合の対応シナリオについてフローチャートを用いながら説明します。

Bild1

対応シナリオ①(追加調査費用を支払い、審査部が単一性ありと認めた場合)
この場合EPC規則64条(2)に従い追加調査費用が返還されます。またA群とB群との間の単一性が認められることになりますので分割をせずともA群およびB群の発明について権利化可能です。

対応シナリオ②(追加調査費用を支払い、審査部が単一性を認めなかった場合)

追加調査費用が返還されません。またB群の発明については分割をしなければ権利化ができません。

対応シナリオ③(追加調査費用を支払わず、審査部が単一性ありと認めた場合)
この場合審査部が追加費用なしでB群の発明について調査を行います(ガイドラインC-III, 3.1.1)。またA群とB群との間の単一性が認められることになりますので分割をせずともA群およびB群の発明について権利化可能です。

対応シナリオ④(追加調査費用を支払わず、審査部が単一性を認めなかった場合)
B群の発明については分割をしなければ権利化ができません。

まとめ

対応シナリオ①および③からもわかるように、追加調査費用を払っても払わなくとも調査部が下した単一性無しという判断を審査過程で覆すことができます。さらに対応シナリオ③では対応シナリオ①と比較して、「追加調査費用を支払う」および「返還された費用を受理する」という作業工程が少ないことから通常の場合お客様には対応シナリオ③となるような手続きをお勧めします。つまり追加調査費用を支払わず、EESRに対する応答で単一性の主張をすることをお勧めしています。




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