徒然なるままに欧州特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州における特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

2016年04月

ドイツの特許侵害訴訟(第一審)における弁護士報酬法(Rechtsanwaltsvergütungsgesetz)に基づくAttorney費用は以下のようになっています。以下の費用には弁護士費用だけでなく弁理士費用も含まれます。
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しかし、訴額が500万ユーロ(弁護士報酬法に基づく弁護士費用:約8万ユーロ)以下の場合は、弁護士報酬法に基づく費用は割りに合わないと感じるAttorneyが多いようで、契約に基づきアワリーレートでAttorney報酬が算定されるのが実情のようです。

欧州一の特許訴訟大国であるドイツの裁判所の記録は、第三者にとっても非常に興味深い情報になります。

実際に日本からどのようにすれば第三者が裁判記録を閲覧できるかというお問い合わせをよく受けます。

しかしドイツでは、第三者が裁判記録を閲覧するには、ドイツ民訴(ZPO)299条第2項の規定により「当事者の同意」または「法的関心」が求められます。

実際に「当事者の同意」が得られることは稀ですし、「法的関心」のハードルも近年高まったようなので、残念ながら第三者がドイツの裁判所の裁判記録を閲覧するのは現実的に困難のようです。

一方、ドイツ連邦特許裁判所の無効訴訟の裁判記録は、法的関心のない第三者にも原則申請により閲覧可能にされます(ドイツ特許法99条(3))。また侵害訴訟と無効訴訟とが並行して係属中の際、無効訴訟において侵害訴訟の裁判記録が証拠として提出されることが多々あります。このためドイツ連邦特許裁判所の無効訴訟の裁判記録の閲覧請求をすることで間接的に並行する侵害訴訟の裁判記録を入手できる場合があります(X ZR 56/05)。

先日、オランダのハーグから日本のお客様をお迎えしました。

何を言っているのか意味が分からないかもしれませんが、お客様はお世話になっている創英国際特許法律事務所の酒巻先生で、現在ハーグの特許事務所で研修生としてご滞在で今回のドイツ出張の際に弊所にも足を運んで頂きました。

日本のプロダクトバイプロセスクレームおよび用途発明についてレクチャーをして頂けるとのことでしたので弊所の化学チームの弁理士一同でお出迎えしました。

私は日本弁理士を名乗っているものの最近日本の実務に触れる機会は専ら弁理士会のeラーニングなので、実際に日本の実務を担当されている先生からの生きた情報は大変ためになりました。

レクチャー後は近くのレストランで会食

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酒巻先生が就職活動中に創英国際特許法律事務所の最終面接で所長から受けた質問の内容についてなど話が盛り上がりました。

酒巻先生、ありがとうございました。またお越し下さい。

熊本県で発生した地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

次回の東京での弊所セミナーのトピックおよび日程が決定致しましたのでご案内申し上げます。

● トピック: 「欧州特許の潰し方・守り方」
 一旦有効に成立した欧州特許を取消すには、各移行国ごとでの取消手続きを経なければならず、その労力とコストは膨大になります。このため欧州特許がまだ欧州特許庁に係属している間に情報提供および異議申立などの制度を使い、競合他社の欧州特許を取消すことが欧州では特に重要になります。
 本セミナーではまず、情報提供および異議申立を通して効率的に欧州特許の権利化を妨害する方法について説明します。さらに権利者の立場から情報提供および異議申立による攻撃から如何にして欧州特許を守るかについても説明したいと思います。そして日本企業にとってあまり馴染みのない欧州における「口頭審理」の際に注意すべき点についても触れたいと思います。

● 日程: 2016年5月19日(木曜日) 

● 時間: 18:30~20:30

● 会場: TKP東京駅丸の内会議室 カンファレンスルーム4
        〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビルB1
        http://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/kg-tokyo-marunouchi/access/

● 会費: 無料

● 講師: Winter Brandl特許法律事務所 長谷川寛

● 定員: セミナー:先着35名 

● 参加方法: 本セミナーへの参加をご希望される方は、KHasegawa@wbetal.deまで以下の項目をご明記の上ご連絡下さい。

 【5/19 欧州特許セミナー参加希望】
 【ご氏名:        】
 【ご連絡先:       】
 【ご所属先:       】

 ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

審査官A 「クレーム1に特徴Xを追加したら特許査定出すよ」

弊所 「建設的提案サンキューな。クレーム1に特徴X追加するで」

特許査定 「よろしくニキー」

弊所 「おし、これで一件落着やな」

異議申立 「よろしくニキー」

“特徴X=新規事項”の異議理由 「よろしくニキー」

異議部(審査官A) 「よろしくニキー」

弊所 「ファッ!?しかし特徴Xの追加は審査官A自身の提案や。異議部には審査官Aもいるし、特徴Xが新規事項とは判断されんやろ」

異議部(審査官A) 
「特徴Xは完全に新規事項だね」キリッ

弊所 「うせやろ。。。。?」


解説:
本事案については欧州特許庁だけでなく弊所にも責任があります。本事案では「特徴X=新規事項」の異議理由を補正で解消することができましたが、欧州では補正による新規事項の追加は往々にして「Inescapable Trap」と呼ばれる特許の取消が確実になる状況を招いてしまいます。そのため審査官からの補正の提案があってもそれを鵜呑みにするのではなく、提案された補正が異議で新規事項の追加と判断される恐れはないか?異議で新規事項の追加と判断された場合には「Inescapable Trap」を回避できるか?の2点を十分に検討すべきです。

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