徒然なるままに欧州特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州における特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

2016年03月

指示書「PCT出願の欧州移行お願いね。移行時にクレームの補正もお願いね。」

弊所「というわけで欧州特許庁さん、補正後のクレームで調査をお願いやで」

調査報告①出願時のクレーム1は、うんたらかんたら」

弊所「ファッ!?補正後のクレームじゃなくて、出願時のクレームに基づいて調査しとるやんけ。欧州特許庁に電話かけたろ」

弊所「欧州特許庁さん、移行時にお願いした通り補正後のクレームでもう一回調査をしてくれへんやろか?たのんます(ボッタクリ価格の調査料金徴収しとるんやからこんなポカミスすんなや!)」

欧州特許庁「はぁ、面倒くさいなぁ(大変申し訳ございません。すぐに補正後のクレームに基づいた新たな調査報告②を発行しますので少々お待ち下さい)」

調査報告②出願時のクレーム1は、うんたらかんたら」

弊所「うせやろ。。?」


解説
移行時に補正後のクレームに基づく調査を申請したにも関わらず欧州特許庁のミスで出願時のクレームに基づく調査がなされた案件です。一度間違うだけならまだしも、電話で抗議をした後にも出願時のクレームに基づいた調査報告が発行されたときには、意図的に挑発されているのかと思いました。結局もう一度新たな調査報告の発行を求めたとしても、次に正しい調査報告を得られるか否かは定かでなく、悪戯に時間をかけてしまうだけど判断し、抗議を含んだ意見書を提出する形で、調査報告に応答しました。

JE-DE2015


コメント
日本からドイツへの出願数の増加率は2012年から4年連続で脅威の年間20%以上となりました。これによりこれまでドイツ国外からの出願数においてトップの座を保持していた米国(2015年:6147件)を抜き、日本は2006年以来9年ぶりにドイツ国外からの出願数においてトップに返り咲きました。

参考サイト:
http://presse.dpma.de/presseservice/englisch/unserservice/pressreleases/2march2016/index.html

欧州特許庁は2016年3月11日に2016年4月1日から手続料金を引き上げることを公表しました。主な料金の改定は以下の通りです(カッコ内は旧料金)。

 調査料: 1300ユーロ(1285ユーロ)

 指定料: 585ユーロ(580ユーロ)

 審査料: 1635ユーロ(1620ユーロ)

 特許査定料: 925ユーロ(915ユーロ)

 維持年金: 3年目 470ユーロ(465ユーロ)
      4年目 585ユーロ580ユーロ(555ユーロ)
      5年目 820ユーロ(810ユーロ)
      6年目 1050ユーロ(1040ユーロ)

・コメント
2014 年の値上げと比較して値上げ幅はかなり控えめです。

先日の記事でもアナウンスしましたが、先週に欧州特許弁理士試験の本試験を受けてきました。今回は試験を振り返りたいと思います。


1.試験の概要
欧州特許弁理士試験の本試験はA部、B部、C部およびD部の4つの科目の試験からなり、スケジュールは以下のようになっています。

 初日:D部(法律問題) 5時間

 2日目:A部(明細書作成) 3.5時間
      B部(OA対応)  3時間

 3日目:C部(異議申立) 5時間

それぞれの科目試験の最高点は100点で、50点以上獲得すればその科目は合格となります。全ての科目に合格できなかった場合は、翌年以降、不合格の科目のみを受験することになります。

ちなみに日本語版Wikipediaの欧州特許弁理士のページでは「試験問題は公用語(英独仏)の3カ国語で出題され、受験者は英独仏の最低3カ国語ができなければならない」と記されていますが、現在ではこの要件が廃止され、英語・ドイツ語またはフランス語の1言語のみで受験することができます。私は試験言語に英語を選択しました。


2.感想
とにかく体力が求められる試験でした。計16.5時間、集中力を保つためにはそれなりの体力と工夫が必要であることを実感しました。十分な睡眠および栄養を含めた体調管理と日が終わる毎の気持ちの切替えをしなければ体力的、精神的にとても辛くなります。

またそれぞれの科目の試験時間は長いのですが、読む量および書く量も膨大なため全体的に時間が足りません。例えばC部では読むべき資料のページ数が27ページとかなり膨大です。その資料の内容を分析するだけでもかなりの時間を要してしまいます。読む量に比例して書く量も膨大となります。その結果、答案構成の検討時間にはほとんど時間を費やすことはできません。資料 の情報を整理して短時間で頭の中で答案構成を整える答案構成能力と、限られた時間内で出来るだけ多くの内容を原稿用紙にアウトプットする筆力が求められます。

また資料の持ち込みが許可されていますが、資料の内容に精通していないと持ち込んだ資料はほとんど役にたちません。「問題の論点に関する記載はどこに書いてあったっけ?」という状態では時間のロスが大きすぎるからです。

A部、B部、C部およびD部の4科目を全て受験する場合、試験自体は日本の弁理士試験よりもかなり辛いです。「もう二度と全4科目の受験はしたくない」が正直な感想です。


3.感触
D部では時間配分を誤りました。その結果2つの設問についてほとんど時間を割くことができず、不完全な形で試験を終えるという事態を招いてしまいました。という訳でD部については最も自信がありません。

A部、B部およびC部については、いくつかのミスはあるものの、一応答案を完成させることができました。題意把握ミス等の大きなミスが無ければ合格点には達したのではという感触です。

ただ多くの合格者の方々から、個人の感触と実際の結果は大きく剥離すると聞いています。このため実際どのような結果になるのかは全く見当が付きません。


4.反省点
自分なりに過去問を同じ時間で解いてみたりと本番の試験対策はしていたつもりだったのですが、特に初日のD部では実際の試験にビビッてしまい雰囲気に吞まれてしまいました。

またD部に関しては、持ち込んだ資料に精通はしていたのですが、それでも重要箇所を探すのに貴重な時間を多くロスしたと思います。重要箇所をまとめたレジュメをもっと充実させておくべきだったと反省しました。

また筆力の不足も実感しました。ほぼすべての科目において時間切れで頭の中のアイディアを完全にアウトプットできず歯がゆい思いをしました。

試験の結果は例年7月初旬ごろに発表されます。とりあえず結果発表までは試験のことは忘れて試験準備中にたまった案件の処理に集中したいと思います。上述したようにもう二度と全4科目を受験したくないので少なくとも1科目、出来れば2科目以上合格していてくれと切実に望むばかりです。

最近付き合いおよび連絡が悪く申し訳ありません。

明日から3日間、合計16.5時間に及ぶ欧州特許弁理士試験の本試験に臨みます。

昨年のプレ試験ではインフルエンザにお見舞いされ開き直っていたせいか大して緊張しなかったのですが、今年はなまじ健康のせいか緊張します。

ベストを尽くしてきます。

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