徒然なるままに欧州特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州における特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

2015年06月

Erteilungsrate

*特許査定率=特許査定件数/審査終了件数(特許査定件数+拒絶査定件数+取下件数)

参考サイト:http://dpma.de/service/veroeffentlichungen/jahresberichte/index.html

先日の記事で、ドイツを含むいくつかのEPC加盟国では欧州特許の成立後のValidation(有効化)の際に国内代理人の選定が要件ではない旨を説明しました。欧州特許成立後に国内代理人を選定しなかった場合、問題が想定されるのは(1)年金納付時および(2)特許対して無効審判が請求されたときの二つの場面であると思います。

以下、ドイツにおける欧州特許の成立後に国内代理人を選定しなかった場合の年金納付時および無効審判請求時の取扱について説明します。


1.年金納付時

年金納付手続きは代理人を通す必要がないので(ドイツ特許法25条)、自ら納付しても、年金納付会社を通して納付しても問題ありません。さらにドイツ特許庁はドイツ国内代理人がいない場合であっても年金納付期限のおよそ8週間ほど前に海外の権利者に対して年金納付期限を通知するサービスを提供しています(ドイツ特許庁Newsletter 4/09)。


2.無効審判請求時


ドイツ国内代理人がいない場合は、審判請求書の写しが海外の権利者に直接送付されます(ドイツ特許法82条、127条、ドイツ民亊訴訟法183条、184条)。ただし審判請求書に対する反論等の手続きをするためにはドイツ国内代理人を選定する必要があります(ドイツ特許法25条)。



3.まとめ


このようにドイツでは国内代理人を選定せずとも年金納付のリマインドも無効審判請求書の写しもドイツ国外まで送付してくれます。このためドイツ国内代理人を選定せずとも権利者が知らないうちに権利が取り消されるといったことは発生しません。最も、ドイツ語の年金納付のリマインドや無効審判請求書の写しがいきなり送られてきても、日本の権利者は混乱するだけでしょうから、そういった混乱を減らすためにもドイツ国内代理人を選定するメリットはあると思います。



欧州特許の査定後、EPC加盟国各国で欧州特許を有効化(Validation)する際には、当然のように各国で国内代理人の選定もしますが、いくつかのEPC加盟国では国内代理人の選定は有効化の要件ではありません。

以下のEPC加盟国では、日本企業であっても欧州特許の有効化の際に国内代理人の選定は求められません。


- ベルギー

- デンマーク

- エストニア

- フィンランド

- フランス

- ドイツ

- アイルランド

- イタリア

- ルクセンブルク

- モナコ

- オランダ

- ノルウェイ

- ポルトガル

- スウェーデン

- スイス

- イギリス


参考資料:

http://documents.epo.org/projects/babylon/eponet.nsf/0/EE1929ACFAA82EC3C125725800374350/$File/National_law_relating_to_the_EPC_en.pdf





ドイツの実用新案制度においても日本の実用新案技術評価制度と同様に特許庁が実用新案出願または登録実用新案について先行技術を調査するサービスを提供しています(ドイツ実用新案法7条)。当該調査サービスを受けるための要件は以下の通りです。


1.主体的要件:誰でも請求可能(ドイツ実用新案法7条)

但し、ドイツ国内に住所等を有さない者は、代理人を通して手続きすることが求められます(実用新案調査ガイドラインChapter2)。


2.時期的要件:実用新案出願後であって出願が係属していること、または実用新案登録が存在していること。

実用新案権の消滅後も請求することが可能ですが、無効になされた後は請求できません


3.費用:250ユーロ


4.備考

日本の実用新案技術評価の請求(実用新案法12条)とほぼ同じ要件ですが、ドイツにおいては調査請求は実用新案権の権利行使の要件ではない点で異なります。また2013年の法改正でドイ ツ特許出願に関する調査報告には見解書が添付されることになりましたが、実用新案では同様の改正がなされなかったので、引用文献のみが列挙された調査報告が発行されます。


参考資料:

Bühring

実用新案調査ガイドライン

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