徒然なるままに欧州特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州における特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

2015年05月

日本では特許出願を実用新案出願に変更することが可能です(実用新案法第10条 )。ただし特許出願を実用新案出願に変更した場合はもとの特許出願は取り下げ擬制されてしまいます(実用新案法第10条5項)。

ドイツでも日本の変更と似た制度があります。しかしドイツでは新たな実用新案出願をしたとしても元の特許出願が取り下げ擬制されないという点で日本の変更制度とは異なります。元の特許出願を生かしつつそこから新たな実用新案出願を派生するこの制度は、木の幹から枝が派生する姿に倣えて「分岐(Abzweigung)」と呼ばれます(ドイツ実用新案法第5条)。分岐実用新案出願の要件は以下の通りです。

1.主体的要件:分岐実用新案出願の出願人が元の特許出願人と同一であること(ドイツ実用新案法第5条(1))
当該要件は分岐出願時に満たしておく必要があります。

2.客体的要件
:分岐実用新案出願の対象となる発明が、元の特許出願に記載された発明と同一であること(ドイツ実用新案法第5条(1))
分岐実用新案出願の対象となる発明が、元の特許出願全体から当業者にとって明確に認識可能である場合は当該要件を満たします。

3.時期的要件:元の特許出願の処理が終了した月、または異議申立が終了した月の末日から2ヶ月以内に手続きを行うこと。但し元の特許出願の出願日から遅くとも10年間の期間内でなければならない(ドイツ実用新案法第5条(1))
すなわち異議申立がなされない場合は、拒絶査定、特許査定または取下の月の末日から2ヶ月以内、異議申立がなされた場合は異議申立の決定が確定した月の末日から2ヶ月以内に分岐実用新案出願をすることができます。

4.効果:上記要件を満たすと分岐実用新案出願が元の特許出願時になされたものとみなされ、元の特許出願の優先権の利益を享受することができます(ドイツ実用新案法第5条(1))。

ドイツ特許庁による2014年アニュアルレポートが公開されました。レポートによると2014年にドイツ特許庁に対してなされた特許出願の件数は、65958件と、2013年の特許出願の数(63173件)と比較して4.4%の増加となりました。

特許出願全体における日本からの特許出願が占める割合は、ドイツ(48144件)、アメリカ(6056件)からの出願に次いで第3位となり、例年の地位を保持しました。また、日本からの特許出願の件数は、5336件と、2013年(4440件)と比較して約20.2%の増加となり、2012年から3年連続で増加率が20%以上となりました。

また、2014年に審査が完了した特許出願は34830件であり、そのうちの15022件に特許が付与されました。換算すると2014年の特許査定率は43.1%となります。

↑このページのトップヘ