徒然なるままに欧州・ドイツ特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州・ドイツ特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

2014年04月

2014年4月1日から分割出願の時期的要件であった24月の縛りが削除されたため、出願が継続中であればいつでも分割出願をすることができるようになりました(EPC規則36条(1))。


ここで「出願が係属中」とは、
・特許査定がなされた場合は、欧州特許公報(European Patent Bulletin)における欧州特許付与の旨の公表日の1日前まで、
・拒絶査定がなされた場合は、審判請求書の提出期間の満了日まで、

を意味します(欧州特許庁ガイドライン Part A Chapter IV 1,1,1,1)。


一般的に欧州では特許査定の通知(EPC97条(1))後、約3~4週間後に欧州特許が欧州特許公報に公表されます。
また審判請求の提出期間の満了は、拒絶査定の通知(EPC97条(2))から2月後です(EPC108条)。


換言しますと、欧州では
・特許査定の通知(EPC97条(1))から約3週間以内、または

・拒絶査定の通知(EPC97条(2))から2月以内であれば、分割出願が可能です。

なお異議申立中は「出願が継続」していないので分割することはできません。


・ドイツ特許法条文

日本語(2013年改正版)

英語(2013年改正版)
ドイツ語(2013年改正版)


・ドイツ特許規則条文

日本語(2012年改正版)

ドイツ語(2012年改正版)


・ドイツ特許審査基準

英語

ドイツ語


・ドイツ実用新案法条文
日本語(1994年改正版)
英語(2017年改正版)
ドイツ語(2017年改正版)

・ドイツ意匠法条文
日本語(2013年改正版)
ドイツ語(2013年改正版)

・ドイツ商標法条文
日本語(2013年改正版)
英語(2017年改正版)
ドイツ語(2017年改正版)

・ドイツ従業者発明法条文

日本語(2009年改正版)

英語(2009年改正版)
ドイツ語(2009年改正版)

・欧州特許条約
日本語
英語


・欧州特許条約施行規則
日本語(2014年改正版)
英語(最新版)

・欧州特許庁審査ガイドライン

英語(2017年版)



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ソース:http://www.epo.org/about-us/annual-reports-statistics.html

ドイツにおける特許侵害訴訟の基本書であるデュッセル高裁のキューネン裁判長著の「Handbuch der Patentverletzung(通称:キューネン)」がグローバルローファームであるFish & Richardsonによって英訳されました。

Handbuch der Patentverletzung
の英語版は、以下のサイトから注文が可能です。

http://new.pitchengine.com/pitches/96aa81e8-dfed-4787-8461-c26c4621e335

日本では時に足の裏についたご飯つぶ(取っても食えない)と揶揄される弁理士資格ですが、ドイツでは、弁理士資格を取っておいて良かったと思う場面が多々あります。以下、私がドイツにおいて弁理士の価値を実感した点を列挙したいと思います。


1.知名度が高い

まず弁理士の知名度が日本と比べて遥かに高いです。日本では「弁理士」よりも知名度が高く、かつ称呼が類似する「便利屋」という職業と混同される方も多いのですが、ドイツではほとんどの人が「弁理士(Patentanwalt)」という職業を知っています。弁理士のドイツ語訳が「Patent(特許)anwalt(弁護士)」と職業を表す名称としてわかりやすいことも一因かもしれません。

日本では初対面の人に弁理士がどんな職業であるかを説明しなければならない場面が多くありましたが、ドイツでは自分の職業についての説明を求められることが少ないので楽です。


2.社会的信用が高い

知名度が高いことに起因することだと思いますが、ドイツでは弁理士の社会的信用が高いです。一般的に高収入として知られている弁理士は、賃貸契約や車の購入など支払い能力が問われる場面ではかなり有利なようです。

通常ミュンヘンエリアでの住まい探しは難しいと言われているにも関わらず、私の場合特に苦労することなくスムーズに住居を見つけられたのは、もしかすると弁理士の肩書きのお陰かもしれません。

私自身は、ドイツでは特に何の後ろ盾のない外国人に過ぎないので、資格によってこのような社会的信用が得られるのは非常にありがたいです。


3.活躍の機会を与えられる

日本以上に学歴、資格社会であるドイツでは、資格の有無によって任せられる仕事内容が全く異なってきます。例えば審判や異議申立など複雑な案件では、例え実力および経験を兼ね備えた特許技術者であっても弁理士資格がなければ直接関与することはありません。一方、私はドイツでは資格を有さないので法的には特許技術者と同じ立場にもかかわらず、審判や異議申立、ライセンス交渉などエキサイティングな案件に積極的に関わらせ頂いています。国は違えど弁理士という資格を有している点で、戦力としてカウントしてもらえているようです。


4.まとめ

日本では弁理士資格のメリットを感じる機会が少なかっただけに、こちらで弁理士資格によってこのようなメリットを得られたことは驚きました。日本弁理士の資格に化体された信用に恥じぬような仕事をし、ドイツにおける日本弁理士のプレゼンスも高めていければと思います。

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