徒然なるままに欧州・ドイツ特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州・ドイツ特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

2013年09月

改訂された最新版の審査基準が欧州特許庁によって公開されました。
改訂版審査基準(英語版)の全文はココからダウンロード可能です。

改訂版審査基準は9月20日からの欧州特許庁における審査に適用されます。

当記事はかなりの誇張および著者の偏見に基づいた部分がありますので真面目に読むことはお勧め致しません。あくまでフィクションとしてお読みください。



EU加盟国「今の欧州特許ってバリデーション手続きとか面倒で金かかりすぎるから、もうEU加盟国全体で有効な統一特許作ることで決まりな。けど統一特許の言語とはどうする?」


解説①
2009年12月4日、EU理事会が欧州統一特許の大枠について合意。

イタリア、スペイン以外のEU加盟国「今の欧州特許の庁言語(英語、ドイツ語、フランス語)でよくね?」

イタリア、スペイン「(ゴネ得があるかもしれないからゴネとくか)はぁ、ふざけんな、俺らの言語も入れろよ!」

イタリア、スペイン以外のEU加盟国「お前らの言語入れると色々規則とか作り直さないといけないし、超面倒だろ。お前ら以外全員これで良いって言ってるんだからお前らも空気読めよ。」

イタリア、スペイン「はぁ、空気読めとかマジ意味わからんし。俺ら一歩も譲らんからな!・・・・チラッ(ゴネ得あるかな)」


イタリア、スペイン以外のEU加盟国「(うっとーしーな)いいよ、そしたらもうお前ら抜きで話進めるわ。今後お前らもう話し合いに参加しなくていいよ。どうして参加したいんだったら、・・・土下座でもしてもらおうか。」

解説②
2011年3月、イタリア、スペイン以外の25のEU加盟国は、27の全てのEU加盟国で統一特許を設立することを断念し、EU条約の「強化された協力」に基づいてイタリア、スペイン抜きで先行統合を進めることを決定


イタリア、スペイン「(!!!ヤバッ!しかし今更後に引けるか)お前らそれはルール違反だろ!こうなったら欧州連合司法裁判所さんに頼んで正義の鉄槌を下してもらうらな。やられたら机バンバンだ!!欧州連合司法裁判所さーん!、欧州連合司法裁判所さぁーーん!!」

解説③
2011年5月、イタリアおよびスペインがイタリア、スペイン以外のEU加盟国の決定に対して欧州連合司法裁判所に提訴。


欧州連合司法裁判所「(うっせーな)おうイタリア、スペイン。なんか用か?」

イタリア、スペイン「実は、かくかくしかじか....とうわけであいつら俺らを仲間はずれにしたんすよ。なんとか欧州連合司法裁判所さんからもガツンと言ってやって下さいよ。」

欧州連合司法裁判所「(めんどくせーな)お前らいつもゴネてばっかりじゃん。今回はどー考えてもお前らが悪いだろ。そりゃあ、お前ら抜きで話進められてもしょうがないわ。」

イタリア、スペイン「ぐぬぬ。。。」

解説④
2013年4月16日、欧州連合司法裁判所がイタリア、スペインの訴えを棄却。


イタリア、スペイン以外のEU加盟国「あいつら欧州連合司法裁判所さんに逆に怒られてやんの。まじウケるwwwwwさて、欧州連合司法裁判所さんも俺らだけで話進めることに関しては問題無いって言ってくれたし、そろそろ最終調整しようか。」

解説⑤
こうして、イタリア、スペイン抜きで欧州統一特許の枠組みが固められました。欧州特許機構の発表したスケジュールによれば2015年には、統一特許制度の運用が開始されるとのことです。


実際は、欧州統一特許と一体不可分である欧州統一特許裁判所の問題もからみ実情はさらに複雑さを極めるのですが、今回の記事ではわかりやすさを優先し欧州統一特許裁判所に関する問題を省きました。


参考資料:

http://www.jetro.go.jp/world/europe/ip/archive/pdf/news_035.pdf

http://www.consilium.europa.eu/uedocs/cms_data/docs/pressdata/en/intm/119732.pdf

http://euobserver.com/innovation/32434

http://documents.epo.org/projects/babylon/eponet.nsf/0/8B5496827A93796CC1257BB7004112AA/$File/sc1308_en.pdf

http://www.jetro.go.jp/world/europe/ip/pdf/20110310.pdf

島国の日本では日本で一旦水揚げされた荷物が、さらに他国へ輸出されるという状況は少ないですが、陸続きで経済活動がボーダレスの欧州では、欧州のある国で一旦水揚げされた荷物が、そのまま欧州の他国へ輸出されるという状況はよくあります。

例えば、日本の業者Xからの荷物がドイツの港で水揚げされ、暫くの間ドイツで保管された後、イタリアに運ばれ、イタリアの業者Yによって、イタリア国内においてのみ販売・使用されるという状況です。

このときドイツに水揚げされた荷物があるドイツ特許を侵害しうる製品を含む場合、荷物をドイツで水揚げおよび保管する行為は、特許侵害を構成するのでしょうか。この問題は、ドイツにおける中間業者Zの有無によって結論が変わってくるので注意が必要です。


<ドイツにおいて中間業者Zが存在しない場合>

ドイツにおいて中間業者Zが存在しない場合、すなわち販売契約が日本の業者Xおよびイタリアの業者Yとの間で直接締結され、金銭のやり取りも日本の業者Xおよびイタリアの業者Yとの間で直接なされた場合は、当該荷物は単にドイツを「通過」するものであり、侵害は構成しないと判断されます(BGH GRUR 58, 189)。


<ドイツにおいて中間業者Zが存在する場合>

ドイツにおいて中間業者Zが存在する場合、すなわち、まずイタリアの業者Yとドイツの中間業者Zとが販売契約を締結し、そしてドイツの中間業者Zと日本の業者Xとが販売契約を締結した場合は、 荷物の水揚げ等の行為は、ドイツの中間業者Zによる「輸出のための輸入」に該当し、特許侵害を構成すると判断されます(OLG Karlsruhe GRUR 82, 295)。


<注意点>

ここで注意すべきは仮にドイツの業者Zが日本の業者Xの現地法人Zであったと しても、特許侵害を構成すると判断されるおそれが高いことです。したがって、このような状況においてドイツで特許侵害の追及を受けるリスクを削減したい場合は、販売契約の締結および金銭のやり取りを、現地法人Zを介さずに、日本の業者Xおよびイタリアの業者Yとの間で直接すべきです。

日本での欧州特許セミナーのトピックおよび日程が決定致しましたのでご案内申し上げます。


● トピック: 「低コストで欧州特許を取得するには」
 主に欧州実務に則したクレームドラフティング、審査の促進化、欧州代理人との効率的なコレポンを通して、欧州特許庁における権利取得のコストを抑える手法について説明したいと思います。

● 日程: 2013年10月24日(木曜日) 

● 時間: 18:30~20:00

● 会場: TKPスター貸会議室 西新宿 カンファレンスルーム9A 東京都新宿区西新宿1-19-6 山手新宿ビル9階 http://www.kaigishitsu.jp/room_nishishinjuku.shtml

● 会費: 無料

● 講師: Winter Brandl特許法律事務所 長谷川寛

● 定員: 先着30名

● セミナー対象者: 主に欧州特許の権利化に関わることがある企業知財部および特許事務所の担当者の方に有用となるような情報を提供できればと思っていますが、それ以外の方でも欧州特許実務に興味のある方であれば、是非ご参加下さい。

● 参加方法: 本セミナーへの参加をご希望される方は、以下のメールアドレスまで、ご氏名、ご連絡先、ご所属先およびセミナー参加希望の旨を明記の上ご連絡下さい。

Email:KHasegawa@wbetal.de


ご不明な点がございましたらなんなりとお問い合わせください。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

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