徒然なるままに欧州特許実務

ドイツで働く日本人弁理士が、欧州における特許実務に役立ちそうな情報を徒然なるままに書き記していきます。雑文・乱文にご容赦下さい。

2013年03月

特許庁の外国産業財産権侵害対策等支援事業の資料によると、ドイツ意匠権の存続期間は、


(1)1988年7月1日より前の出願日の意匠権:出願日から3年。延長申請により最長15年間。

(2)1988年7月1日以降で2004年6月1日より前の出願日の意匠権:出願日から5年間。延長申請により5年間更新可能(3回が限度)。したがって、最長20年。

(3)2004年6月1日以降の出願日の意匠権:出願日から5年間。延長申請により5年間更新可能(4回が限度)。したがって、最長25年。


となっています。しかし上記(2)は間違いで、最長20年の存続期間を有する意匠権は現存しません。

正しいドイツ意匠権の存続期間は、


(a)1988年7月1日より前の出願日の意匠権:出願日から3年。延長申請により最長15年間。

(b)2004年6月1日時点で存在していた意匠権および2004年6月1日以降の出願日の意匠権:出願日から5年間。延長申請により5年間更新可能(4回が限度)。したがって、最長25年。

ここで(a)の1988年7月1日より前の出願日の意匠権の存続期間は、全て満了しているので、現存するドイツ意匠権で(a)に当てはまるものはありません。したがって全ての現存するドイツ意匠権には全て(b)の期間が適用され、最長25年の存続期間を有することになります。


参考図書:Eichmann

実施許諾用意制度


実施許諾用意制度とは、特許権者が当該特許について第三者への実施許諾を拒否しないことを宣言することによって、特許維持年金を半額にすることができる制度です(ドイツ特許法第23条(1))。


手続き的要件:

・実施許諾の用意がある旨の宣言書面を特許庁に提出する(ドイツ特許法第23条(1))。

・専用実施権が登録されている場合は、当該制度を利用することはできません(ドイツ特許法第23条(2))。

・実施希望者の通知が無い限り、当該宣言は書面によっていつでも取り下げることができます(ドイツ特許法第23条(7))。


庁費用:無料


効果:

・宣言の受領後に納付期日が到来する特許維持年金が半額に減額される(ドイツ特許法第23条(1))。

・第三者から実施許諾の申出があった場合は、実施許諾の拒否が認められなくなる(ドイツ特許法第23条(3))。


このように実施許諾用意制度では申出があった場合は、実施許諾の拒否が認められません。また、実施希望者との間で実施料の額が争点となった場合、申請によっ てドイツ特許庁によって実施料の額が決定されてしまうので、法外な実施料を請求することで、特定の第三者の実施を実質禁止することも出来ません。このように実施許諾用意制度は、発明の実施をコントロールするという特許権のメリットが傍受できないことから、あまり好まれていないそうです。少し古いデータです が2002年には2931件の実施許諾宣言書が提出されました。

↑このページのトップヘ